●シルク・絹にまつわる話、絹の特性 
絹、シルク、Silk、Silkworm、Cocoon  
私の住んでいるところは、昔、蚕室だった所です。現在、そこに家を建て店を構えました。蚕室とは、お蚕を飼い、繭玉まで育てる処です。安曇野は、その昔、あちこちで、お蚕を飼い、養蚕が盛んに行われていた所です。繭玉作りが盛んだった頃、夜、一晩中、お蚕が、休むことなく桑の葉を食べている音を聞きながら寝たことを思い出します。
お蚕は、「お蚕様」 「おかいこさん」 などと呼ばれ、高価で、貴重なものだった為、何時しか、こう呼ぶように教えられました。
子供の頃、自分でお蚕を飼って、毎日桑の葉を摘んできては、観察日記をつけたこともありました。
養蚕農家では、繭玉になると出荷、繭玉から生糸を紡ぐ、母や、姉達の姿も思い出します。
糸を紡いだ繭の中からは、茶色のさなぎが姿を現します。信州ではそれが貴重な蛋白源となっておりました。
今ではすっかり中国など外国産に追われ、桑畑もなくなり、その風物も殆んど姿を消してしまったのは寂しい限りです。
改めて「冷えとり健康法に」出会い、現在、シルク関係に携わることになって、なにか感慨深いものがあります。


シルクの特性など  
シルクは、タンパク質から出来ております。18種類のアミノ酸が含まれ、人間の肌に最も類似した繊維と言われ、その成分は、フィブロインとセリシンと言う2種類のタンパク質から構成されたものです。
タンパク質は、アミノ酸分子が結合したもので、皮膚、爪、筋肉、血液などで、水分を除くと人体の約半分がタンパク質だと言われております。

 絹の主成分
タンパク質、18種類のアミノ酸を含む
 吸湿性(吸毒) 絹は、木綿の平均1.4倍の吸湿性があります。繊維の構造上体内の毒素を吸湿する力が強く、シルクを着用することで余分な湿気(汗、毒素)が、いち早く放湿され湿気が残らない為、着心地がさわやかです。
参考までに吸湿率は、絹11に対しポリエステルの吸湿力は0.4。
 放湿性(排毒) 絹糸にはピンホール(小穴)があり、この構造が汗、毒素、を容易に絹から排出する役目をしてくれます。放湿性も絹は木綿に比べ1.5倍の速さで放湿しこの為肌を常にさらさらにしてくれます。
 紫外線を吸収 絹は紫外線(UV)を吸収し肌を守ってくれます。絹を日向干しすると黄色に変色するのは紫外線の影響。
 抗菌作用 抗菌性が高く、皮膚あれ、傷口、アトピー予防に良い。擦り傷などの部分に絹布を巻くと効果あり、肌荒れにも効果があります。体臭のあったワキガに悩まされていた人もシルク肌着を着用することで改善された例もあります。
 血行促進
絹の表面には目に見えない起毛があり、肌と触れ合うことで軽い摩擦効果から肌を活性、浄化、更に血流の流れも良くなり、肌に潤いをあたえます。絹肌着を着用する事で、体験的に肩こりなどを緩和する予防効果もあります。
シルク肌着、ズボン下などは、肌に窮屈な、ぴったりした衣類は使用しないように、ゆったりした余裕のある衣類の着用をお奨めします。

 難燃性 絹は燃焼温度が高く燃えにくい素材です。燃焼温度は化繊が200度位、絹は300〜400度と言われています。又、化繊のような有毒ガスの発生もなく、帯電(静電気)が起きにくい天然素材です。
 肌触り、暖かさ 絹は、軽く薄く、美しい光沢があります。肌触りがよく、夏涼しく、冬は暖かい。化繊のような、むれがなく、綿のような汗をかいて湿った感じがない。これは絹の放湿性によるものです。
絹には小さな空気層があります。暑い季節、汗を吸収し排気(排毒)を促し温度を調節します。冬は体温と外気の温度差を空気層が調節し、保温を保ちます。一時期、アウトドアー用の網目シャツもこの効果を利用したものです。
絹は、他の繊維に比べ吸湿性(吸毒)が良く、放湿(排毒)機能が最も優れているので、着用感は常にさらりとした肌触りを保ってくれます。

 絹の弱点

紫外線に弱い、弾力性に乏しくその為しわになり易い、アルカリに弱い為、洗濯は、中性洗剤を使用し、選択後は、必ず日陰干しをお薦めします。

絹にはこのような特性があり ⇒ 排毒、放湿、保温、血行促進、抗菌作用など、天然素材ならではの諸々の効果があり、肌を保護、肌に潤いを与え、又、健康維持の為にも多くの効果が期待できます。
その 
シルクの効能を考慮し始めたのが 「冷えとり健康法」 の基本となっております。

◎シルクの洗濯  
洗剤は中性洗剤かシルク専用洗剤をご使用下さい。水か、ぬるま湯での手洗いが基本です。洗濯機を使用の場合はネットに入れ短時間で洗濯します。絹はアルカリに弱いので洗濯石鹸などの使用は不可です。
洗濯後は、直射日光を避け(紫外線を吸収し、変色します)風通しの良い、日陰干しをお勧めします。


紅花染め